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北東北の手仕事 秋田の曲げわっぱ

先々週のこと。
修理をお願いしていた曲げわっぱの弁当箱が戻ってきた。
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これは夫用の二段長角弁当。
落として(注:夫が)しまったため、下段の方のかどに亀裂が入り、蓋はまっぷたつに。

購入先の大館工藝社に問い合わせ、修理してもらえるとのことで、送ったのだったが、
これは修理できない割れ方だったらしく、
「同じ型のもので、『壊れた部分の蓋+下段(深いほう)容器』を送ることができるがどうされますか?」と連絡があった。
実費はかかるけれど、きちんとした形のものを再び使いたいと思い、送ってもらうことにした。

製作時期も違えば材料の木も違うので、前からのとくらべた色味は、
新しい方がピンクっぽい木肌をしている。(写真右側の深いほう・蓋が新しい)
だんだんと色が落ち着いていくだろうから、その変化を見るのは楽しみ。

壊れた方も同送してもらい、こちらはボンドでくっつけて物入れとして用を果たしてもらう。


   ***** うちで使っている曲げわっぱ *****

初めてのわっぱは、私の弁当箱。
5~6年くらい前の誕生祝いに(自分に)思い切って買ったもの。
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白木ではなく、薄くウレタン塗装してある点扱いやすく、木の香りもよい(塗装のためにそこなわれていたりしない)。

夫の帰りが遅くなる時など、これにご飯を入れておくと、
冷めてもわっぱのご飯は美味しく(炊きたてご飯に劣らぬ美味しさ!)好評なのだった。

やはり木のもの(曲げわっぱ)はいいね!と、夫婦の意見が一致。
夫のも欲しいなあと。

せっかくなら色々見比べて選んでみたい、秋田に行くことがあったらそのときにと。
割とすぐにその機会は訪れて(作って)、
(ちょうど転勤にあたった時期だったりして、いただいたお餞別をにぎりしめ)、
秋田は曲げわっぱの本場、大館市へ出発。
5月の連休の頃だったな。

大館は初めて行ったが・・・・遠かった~。
初めて行くところは遠く感じるものだけど。

大館工藝社や栗久などを訪ね、さまざまな曲げわっぱ製品を見て「目の保養」を十分に楽しむことができた。
当時ぶっちはうまれていなかったから、とっちの動き(手の先)をマークしながら。

その頃堀井和子さんの「北東北のシンプルをあつめにいく」を愛読していて、
「白木のおひつ」にも出会えたらいいなと思って行ったら、(本場なのだから当然だ)
見つかった。
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堀井さんのお使いのものと同じかと思われる。縁の始末の仕方とかが。
これは大館工藝社で。

kayoさんやあさこさんがお持ちの「栗久」のは、
内側、底と立ち上がりのカドの部分がカーブになるように細工がしてあるのが、扱いやすいだろうと思う。
私のはすでにやや黒ずんでしまったから・・・。

おひつのご飯は冷めても(いや冷めてこそ?)美味しいので、
買ったばかりの頃は、いそいそと釜からおひつに移しては
「ああ美味しい美味しい」と食べていたものだが、
この頃は当初ののぼせ状態(笑)も落ち着いて、時々出してくる程度。
昨年は豆ご飯を入れて風呂敷に包んで出かけ、外ご飯(ピクニック)をしたなぁ。

もっともっと使ってやらないと!
堀井さんのは本に掲載当時で15年選手だという。
うちのはせいぜい4年生。
一生モノとして付き合わせてもらおう。

こういう伝統工芸品は、変わらず同じものを作り続けているから、
↑でも書いたような、修理や同型の再購入などといったことができるのがありがたい。
電化製品ならば部品が作られていない等で修理不能となり買い替えに至るところ・・・。


これはビールのための「とっておき」、曲げわっぱのカップ。
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一昨年青森ねぶた見物の帰りに寄った、
十和田湖畔にたたずむ店「ゆずりは」にて。
清涼な杉の木の香りがして、晩酌は格別な気分。
たくさん入るし!(笑)

木のものはあたりが柔らかく温かな感じがして好きだ。
夫はアイスクリームは木のさじで食べたいと言う。
弁当箱もビールのカップも、やさしく洗い、すぐに水気をしっかりと拭き取る、それだけ。
そんなに扱いはめんどうではないと思う。
おひつは白木なので、気を遣うが。

ふだんの食器は丈夫で扱いやすい物ばかりだ。
たまに焼きしめの皿などを使うくらい。
その中にあって木のものは、少しだけ気をつける(心をくばる)。
なんでもサッサと急ぎたがりで、粗忽者の私にはちょっとしたエンジンブレーキにもなっていい。
何より、キッチンという自分の基地に、気に入りの道具があるということは、かなり気分がよいものだ。

話を戻し・・

この店「暮らしのクラフト ゆずりは」は北東北(青森・秋田・岩手3県)の手工芸品が集められている。

気軽に買えるようなものは、はっきり言って、ない。悲

けれど、一つ一つが実に丁寧に作られたものであり、匠の技に感じ入ることができた。
北東北の厳しい自然に育まれた、素材・技・その美・・・、たっぷり目と心の保養をさせてもらった。
暮らしの道具(実用品)として作られたものたちは、質実剛健。
華やかな装飾がない代わり、すっきりとシンプルで、素材の魅力をしっかりと伝えている。
なんというか、品があるのだ。
素朴なのに格がにじみ出ている。

アケビや山葡萄、竹のカゴ、曲げわっぱやブナコ、大野木工、南部鉄器、皮革製品、刺し子(こぎん刺し)、裂き織り、ホームスパンetc.・・・
ああ、カゴが・・・・・欲しいぃ。

「ゆずりは」のご主人は各地の作家(ほとんどが高齢である)を訪ねて作品を掘り起こし、また全国を回って北東北の手工芸品の紹介に努めているとのこと。書籍も出されているようだ。


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家にある本
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左:「手のひらの仕事
中:堀井和子「和のアルファベットスタイル
右:同じく堀井さん本「北東北のシンプルをあつめにいく

以上は自分の住む北東北の魅力を改めて知り、「もっと知りたい!」と思うようになった大切な三冊。
この本を見て「あれが欲しい」と買いに行く、というよりも、
実際に家で使っているものや、時折地元の店で見かけるものについて、へぇそうなのか・・・と知識を深めるといった読み方。

もちろん出合いがあるなら、(かつ資金も十分ならば)お迎えしたいなあ~というものはいろいろある。
まずは竹細工のカゴ製品、イタヤ細工・・・浄法寺塗もいいなあ。ありえないけど岩谷堂箪笥なんかがドーンと置かれていたら格好いいだろうな。

「和の ~ 」は、何度か図書館で借りているうち、ええい買ってしまえ!と結局手元に。
「北東北の ~ 」の文章は、他の堀井さん本にくらべて、なんとなく謙虚な感じ?いつも以上にシンプルな語り口に感じられる。どなたかのレビューにも同じような感想があったかと・・・。
そして、これもどなたか書いておられたが、岩手山の風景のくだり(p157!)が心に沁みた。
ふるさとの大好きな山、その描写は堀井さんならではの表現で、まさにそんな山なのだと改めて思い知って、とてもうれしかった。